読む薬膳 その2 『秋の芋煮会』

こんちには、千葉です。
早いもので今年ももう10月、すっかり秋ですね。食べ物が豊富で美味しい素敵な季節です。

一時期住んでいた事がある宮城県仙台市には、『芋煮会』という秋の楽しい風習があります。家族・友人・職場の仲間達等で、市内を流れる一級河川広瀬川の河原に集まり、『芋煮』を作って野外で宴会をするのです。

材料は、里芋、しめじや舞茸などきのこ類、豚肉、ゴボウ、大根、にんじん、長ネギ、木綿豆腐、こんにゃく等々。味付けは味噌、料理酒、みりんで適当に(笑)因みに、最近私はゴボウ、大根、人参は皮付きで使います。アク抜きもしません。

豚汁に里芋が加わったような中身ですが、ここでは里芋は絶対エースですので代用出来ません。仮にジャガイモでも入れてしまおうものなら、夏のスイカ割りにカボチャを使ってしまうような大事件です。そして個人的にはきのこ類も不可欠です。それは、里芋もきのこも、この季節が旬の食べ物だからです。

みんなで分担して材料や鍋、薪などの機材を持ち寄り、河原の石でかまど(らしきもの)をつくり材料を煮込みます。完成までの間、大人はビール、子供はジュースを片手に楽しくやるわけですが、どこまでも抜けるような青空の下、広い河原でせせらぎの音を聴きながら、焚き火の匂いや味噌の食欲をそそる香りを感じながらの親しい人達とのひとときは格別です。自然の中での食事は五感も生き生きしてきます。

だんだんと昼が短く、夜が長くなっていくこの秋の季節は『陽消陰長』という言葉で表されます。寒い冬に向けてお腹を整えてながら栄養を蓄える時期です。空気も乾燥してきますので鼻・喉・肺を痛めないよう潤いにも心掛けます。

芋煮の主役である里芋には、お腹を元気にする働きがあります。また乾燥で喉を痛めたり痰が切りにくかったり、或いは便秘などの症状が見られる場合もありますが、それらも改善します。準主役のきのこ類もお腹を元気にします。食べた物がお腹の働きを経て気血津液となり身体を巡って明日の身体を作りますので、お腹の働きを健やか保つことは健康の出発点です。

東洋医学的に秋は肺の働きが活発になる時期とされますが、肺はとても繊細な器官で乾燥を嫌い潤いを好みます。口喉肺の乾燥への備えとしては、季節の果物である梨や柿などを添えてみると良いでしょう。

それでは皆様、旬の食材で季節を感じながら一日一日美味しく楽しくお過ごしください。

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